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名前:佐藤真理奈 日時:2004年07月29日 23時16分36秒

中和反応の実験で,
@乾いた試験管4本(A,B,C,D)を用意し,それぞれに無水硫酸銅を小さじ1杯ずついれる.
AAには純水を5ml加える. 
BB,Cには酢酸を5ml加える.
CC,Dには水酸化ナトリウムを1粒ずつ入れる.
DA〜Dをよく振り混ぜて,変化を観察する.
というものがあったのですが,この実験の結果からわかることとはなんなのかがまったくわかりません.詳しく教えて下さい.

名前:芦田 実 日時:2004年07月31日 12時20分00秒

佐藤真理奈 様

 必ずしも専門家ではありませんので,不正確な回答もあります.教育学部から公開しているホームページの質問箱とQ&A集にも回答(一部)を載せたいと思います.

質問129 中和反応の実験で,@乾いた試験管4本(A,B,C,D)を用意し,それぞれに無水硫酸銅を小さじ1杯ずついれる.AAには純水を5ml加える.BB,Cには酢酸を5ml加える.CC,Dには水酸化ナトリウムを1粒ずつ入れる.DA〜Dをよく振り混ぜて,変化を観察する.というものがあったのですが,この実験の結果からわかることとはなんなのかがまったくわかりません.詳しく教えて下さい.

回答 この質問には実験結果が書いてありません.実験結果によって,私が実験に使用した薬品や実験方法・内容をよく理解できます.また,その結果によって回答も変わります.したがって,なぜ実験結果をわざと隠すのか,全く理解できません.実験結果を想像して回答するのは,あれやこれやと非常に多くのことを考慮しなければならず,長時間を無駄に浪費します.
 結論から先に言うと,中和反応によって水ができることを確認するための実験,または銅イオンが酸性,中性,塩基性でどの様に反応するか調べる実験だろうと思います.しかし,水の生成を確認する実験だとしたら,この実験方法には問題点があり,水ができたことを証明できないと思います.
 Aの試験管は青色の水溶液になると思います.水が存在すると銅イオンが水和して青色になることの確認実験だと思います.
 Bの試験管では,使用した酢酸が100%のものか,水溶液なのかによって,実験目的や実験結果が全く変わります.100%のものなら反応がほとんど起こらず,無色のまま色が変化しないと思います.あるいは微量の酢酸銅ができて,薄い緑色になると思います.または,不純物として水が微量含まれていれば微量の銅イオンが水和して,薄い青色になると思います.したがって,この場合には水が含まれていなければ,銅イオンが青色に変色しないことの確認実験だと思います.
 酢酸が水溶液の場合には,Aの試験管と同じく,銅イオンが水和して青色になると思います.この場合には,実験目的が全く異なり,中性および酸性では塩基性のように水酸化銅の沈殿ができないことの確認実験になるだろうと思います.
 Cの試験管では,酢酸と水酸化ナトリウムが中和して,酢酸イオン,ナトリウムイオンおよび水ができます.しかし,水和しようとするイオンは銅イオンだけではありません.硫酸イオンも,ナトリウムイオンも水和しようとします.さらに,1つのイオンあたり4〜6個の水分子と水和しますので,水分子を奪い合うことになります.別の反応として,酢酸イオンが銅イオンと2:1で反応して,酢酸銅無水物(緑色)または酢酸銅一水和物(暗青緑色)ができると思います.以上のことより,使用した薬品の量にもよりますが,銅イオンが水和して青色になる量よりも,酢酸銅無水物(緑色)または酢酸銅一水和物(暗青緑色)ができる量のほうがはるかに多いだろうと思います.しかも,これらの物質の色が似通っていますので,中和反応によって水ができたことを証明するには無理があると思います.
 Dの試験管には水を入れないのでしょうか.水酸化ナトリウムは無水のものを使用したのでしょうか.水がないならば,反応がほとんど起こらず,無色のまま色が変化しないと思います.あるいは,長時間放置すれば固体間の反応が起こり,微量の水酸化銅ができて,薄い青色になると思います.または,無水硫酸銅も水酸化ナトリウムも吸湿性ですので,ゆっくりと水酸化銅ができて青色に変化していくと思います.したがって,この場合にも水が含まれていなければ,銅イオンが青色に変色しないことの確認実験だと思います.
 水を加えた場合には,実験目的が全く異なり,塩基性では水酸化銅の沈殿ができることの確認実験になるだろうと思います.
 実験結果が書いてありませんので,また私のほうで実験したわけではありませんので,これ以上は分かりません.後はご自分で考えて,判断して下さい.

埼玉大学教育学部理科教育講座
芦田 実