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名前:森田 孝一 日時:2004年07月15日 23時17分37秒

高分子電解質の解離は,pH=pKa+log[α/(1-α)]-0.434eΦ/kTなのに,低分子の弱酸はpH=pKa+log[α/(1-α)]になるのですか?αは分子の解離基の解離度,Φは分子表面の電位です.

名前:芦田 実 日時:2004年07月19日 15時00分00秒

森田 孝一 様

 必ずしも専門家ではありませんので,不正確な回答もあります.教育学部から公開しているホームページの質問箱とQ&A集にも回答(一部)を載せたいと思います.

質問125 高分子電解質の解離は,pH=pKa+log[α/(1-α)]-0.434eΦ/kTなのに,低分子の弱酸はpH=pKa+log[α/(1-α)]になるのですか?αは分子の解離基の解離度,Φは分子表面の電位です.

回答 低分子の弱酸でも2段階に解離するものは,1段階目の酸解離定数K1と2段階目の酸解離定数K2が大きく異なっています.本質的にはこれと同じことが,高分子電解質の酸解離定数Kaに起こっているだけだと思います.
 低分子の弱酸では,分子同士が充分離れていますので,解離定数が他の分子の解離状態(すなわちα)の影響を受けないと思います.自分が解離しているかどうかだけで決まりますので,K1になるかK2になるか,どちらにしても一定です.言い換えると,2つの電位Φがそれぞれ一定であるため,K1とK2の中に含めていると考えればいいと思います.
 高分子電解質では解離基の部分が,互いに影響を及ぼし合うほど近い位置にあると思います.しかし,多段階に解離する低分子の弱酸よりは離れていますので,他の位置の解離状態(すなわちα)の影響を少しだけ受けると思います.すなわち,分子表面の電位Φがαの関数になっているため,電位ΦをKaに含めると,KaがpHによって連続的に変化してしまうのだと思います.結論として,高分子電解質では分子表面の電位Φが一定でないからKaの外に出しただけだと思います.

埼玉大学教育学部理科教育講座
芦田 実