前に戻る

名前:横田 美治 日時:2004年07月05日 23時30分01秒

Q&Aの 酸化銅から酸素を取り除くという欄に,加熱してもダメとありました.が,大学時代に使っていた廣川書店発行の「無機化学」昭和47年1月15日12版発行.著者 垣花秀武・吉野諭吉・福富博の373ページに酸化銅(T)copper(I)oxide Cu2Oは,Fehling溶液の還元によって得られる赤色沈殿に見られるが,酸化銅(U)の熱分解によって得られる.
  2CuO → Cu2O + 1/2O2
とありますが.いかがでしょうか.大学を出て30年近くになる寝屋川市立第一中学に勤める理科の教師です.よろしくお願いします.

名前:芦田 実 日時:2004年07月18日 15時40分00秒

横田 美治 様

 必ずしも専門家ではありませんので,不正確な回答もあります.教育学部から公開しているホームページの質問箱とQ&A集にも回答(一部)を載せたいと思います.

質問123 Q&Aの「酸化銅から酸素を取り除く」という欄に,加熱してもダメとありましたが,大学時代に使っていた無機化学の本に,酸化銅(T)copper(I)oxide Cu2Oは,Fehling溶液の還元によって得られる赤色沈殿に見られるが,酸化銅(U)の熱分解によって得られる.
  2CuO → Cu2O + 1/2O2
とありますが.いかがでしょうか.

回答 気がつきませんでした.ご指摘有り難うございます.近いうちに修正しておきます.
 確かに,酸化銅(U)は融点1026℃以上に加熱すると,一部が熱分解して酸化銅(T)になるようです.1000℃以上では,酸化銅(U)より酸化銅(T)のほうが安定のようです.また,酸化銅(U)を1500℃以上に加熱すると,酸化銅(T)と金属の銅の混合物もできるようです.しかし,空気中で加熱したのでは,酸化銅(U)から酸素を完全に奪ったり,完全な金属の銅を得ることはできないと思います.さらに,実験したわけではありませんが,冷える間に(実験方法や量にもよりますが,少なくとも表面が)酸化銅(U)にまた戻ってしまうのではないでしょうか.したがって,金属の銅ができたかどうかを,目で見て簡単に確認できるのでしょうか.中学生に実験させたら,納得してくれるのでしょうか.
 Q&Aのあのクイズでは,酸化銅(U)から酸素を完全に奪って金属の銅を得ること,それを目で見て簡単に確認できることを強く意識しました.上で述べたように,バーナーで加熱する方法は反応が中途半端になりますので,正解とも言い切れず,間違いとも言い切れず,悩ましいところです.

埼玉大学教育学部理科教育講座
芦田 実