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名前:やまだたつお 日時:2004年07月04日 10時53分07秒

酸性度(酸解離定数)についての質問です.
大学の有機化学の教科書中での,『簡単な滴定法とpHメーターで,0〜14までのpKa値を水溶液中で測定することができる』という説明はイメージできるのですが,『さらに強い酸,弱い酸の場合は困難である.強酸の酸性度は通常酸性媒質中で,弱い有機酸の酸性度は通常有機溶媒中で測定され,水性媒質中での値と相関付けられる』という部分がよく分からないです.
なお引用文献などの記載はありませんでした.
具体的なpKa測定法ってどんなものなのか,あるいはそれについて書かれているのはどういった本か,について教えてください.

名前:芦田 実 日時:2004年07月18日 11時45分00秒

やまだたつお 様

 必ずしも専門家ではありませんので,不正確な回答もあります.教育学部から公開しているホームページの質問箱とQ&A集にも回答(一部)を載せたいと思います.

質問121 酸性度(酸解離定数)についての質問です.大学の有機化学の教科書中での『簡単な滴定法とpHメーターで,0〜14までのpKa値を水溶液中で測定することができる』という説明はイメージできるのですが,『さらに強い酸,弱い酸の場合は困難である.強酸の酸性度は通常酸性媒質中で,弱い有機酸の酸性度は通常有機溶媒中で測定され,水性媒質中での値と相関付けられる』という部分がよく分からないです.

回答 pHメーターでは,ガラス電極の薄膜間の水素イオンの濃度差や薄膜を通過する水素イオンの量(速度)のようなものを測定して,pHを決めていると思います.したがって,基準となる水から水素イオンの濃度が極端に離れてしまうと,濃度差を正確に測定できなくなるのだと思います.溶媒をpKa値が分かっている酸性物質にかえれば,水素イオンの濃度差が小さくなりますので,強酸の酸性度(pKa値)を酸性溶媒との相対的な強度の差として測定できるようになります.しかし,水中で測定した値とは明らかに異なりますので,補正する(相関付ける)必要があると言うことだと思います.同様に,弱い有機酸の酸性度は,水よりも酸性度が弱くてpKa値が分かっている有機溶媒中で測定するのだと思います.
 このような原理を「酸性度関数」と言うそうです.これの定義などは岩波の「理化学辞典」などをご覧下さい.pHの測定方法は,確認していませんが,丸善の「実験化学講座」などに載っていると思います.

埼玉大学教育学部理科教育講座
芦田 実