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名前:田中 優子 日時:2001年11月04日 23時27分00秒

 初めまして.最近疑問に思ったことがあるので,皆さんに教えていただきたいです.とても初歩的な疑問ですが,本人は真剣なので優しく教えて下さい.
 なぜ油は燃えやすいの?油の火に水をかけるとますます燃えるのはなぜ?また,ふつうの火に水をかけるとなぜ消えるの?それから,虹の暗線で思ったのですが,光の吸収と反射とはどういうことが起こること?
なんとなく見過ごしてたことがとっても気になりだしました.お願いします.教えて下さい.

名前:芦田実 日時:2001年11月06日 16時58分00秒

田中 優子 様

必ずしも専門家ではありませんので,不正確な回答もあります.将来,教育学部からホームページを公開したときに,Q&A集に載せたいと思います.

質問1 なぜ油は燃えやすいの?

回答 燃焼には,燃える物,空気(酸素),燃え続けるために充分な高温の3つが必要です.一般に,固体(ロウソク)は熱で溶けて液体になり,さらにその液体が熱で蒸発して気体(ロウガス)になってから燃えます.融解と蒸発に必要な熱は,炎の中で起こっている燃焼(酸化)による発熱から供給されますので,炎の温度を下げる効果があります.液体(灯油)は熱で蒸発して気体になってから燃えます.蒸発のために熱を吸収します.気体(プロパンガス)はそのまま燃えます.また,融解や蒸発が起こるために時間もかかりますので,それだけ燃えにくくなります.したがって一般に,固体よりも液体のほうが燃えやすく,液体よりも気体のほうが燃えやすくなります.同じ液体同士なら,蒸発に必要な熱が少ないほうが,速く蒸発しますので,燃えやすくなります.例えば,灯油よりもガソリンのほうが燃えやすいのは,ガソリンのほうが蒸発(気化,揮発)しやすい(蒸発熱が小さい)ためです.ゆえに,油が燃えやすいのは,蒸発熱が小さいためです.

質問2 油の火に水をかけるとますます燃えるのはなぜ?

回答 想像で回答します.水は油よりも密度が大きいので,油の上からかけると油の下に沈み込もうとします.油の上を水で覆って,空気(酸素)を遮断することができません.水の沸点は100℃ですが,燃えているときの油の温度は200℃よりも高いと思います.高温の油で加熱されるので,水が突沸し,瞬時に気体になり,体積が膨張し飛び散ります.このとき油滴も飛び散るので,それが非常に高温(1000℃前後?)の炎の中で瞬時に気体になって膨張し,燃え上がるのだと思います.油の霧を火に吹きかけたときと同様の現象が起こっていると思います.水が沸騰するときに液体の油から蒸発熱を奪いますが,高温の炎の温度を下げる効果はあまりないのだと思います.また,水が気体になって膨張するときに,炎から空気(酸素)を遮断する効果も小さいのだと思います.

質問3 ふつうの火に水をかけるとなぜ消えるの?

回答 水が蒸発するとき熱を奪うので,温度を下げるためです.同時に,燃えている物を液体の水で濡らす(覆う)ことで,空気(酸素)を遮断するためです.蒸発して膨張する水蒸気が空気(酸素)を遮断することも考えられます.これらの効果で,火に水をかけると消えます.その他,火を消すのに水がよい理由に,水の蒸発熱が大きい(冷やす効果が大きい)こと水が燃えないこと等があります.

質問4 光の吸収と反射とはどういうことが起こること?

回答 光と色の違い,色とその補色が関係しています.虹の色やプリズムによる分光で分かるように,可視光線には種々の波長(色)の成分があります.赤い電灯の光も赤色の物体の色も,どちらも赤く見えるのは,それらから赤い成分の光がやって来て目に入るからです.自ら発光していない物体(鏡,アルミホイル)が光って見えるのは,(物体の表面で)光を反射しているからです.白色と黒色は色ではない,という人もいます.無色透明のガラスを細かく砕いていくと,最後に白色の粉末になります.逆に,白色のチョークの粉や小麦粉を顕微鏡で観察すると,無色透明の粒子が見えます.白色の紙や布を顕微鏡で観察しても,無色透明の繊維が見えます.白色は全ての成分の可視光線を反射しています.暗室で白紙に赤い電灯の光を当てたら,赤色に見えるはずです.逆に,黒色は全ての成分の可視光線を吸収しています.吸収された光のエネルギーは,振動エネルギーや運動エネルギー等に変わり,最後に熱エネルギーに変わります.しかし,黒光りしているという表現があるように,黒色の物体を見ることができるのは,完全に100%吸収している訳ではなく,わずかに反射していて,そのわずかな光が目に入るからです.同様に,白色物体は可視光線を完全に100%反射しているとは限りません.例えば,少し赤みをおびた白色物体は,RGB(赤,緑,青)で言うと,緑領域の光や青領域の光をわずかに吸収しています.白色と黒色の中間の灰色の物体は全ての成分の可視光線を吸収もするし,反射もしています.有色の物体は可視光線のうち,ある波長領域の光を反射し,残りの領域の光を吸収しています.この場合の反射も吸収も100%完全とは限りません.例えば,緑色の木の葉は緑の光を反射し,赤など残りの光を吸収しています.したがって,光合成の実験をするときには,緑の光を当てても効率が悪いと思います.例えば,青色のセロハン紙を白色電灯にかざして見たとき,セロハン紙は青領域の光を透過し,青以外の領域の光を吸収しています.この場合も透過や吸収が不完全であることは,セロハン紙を2枚重ねたら色が濃くなる(暗くなる)ことで分かると思います.

埼玉大学教育学部理科教育講座
芦田 実

名前:田中 優子 日時:2001年11月06日 23時47分00秒

さっそく回答をいただき本当にありがとうございます.ゆっくりかみしめて読んだらわかってきました.とても詳しくてわかりやすくて感動しました.でも素人ですので,たぶん浅くしかわからないでいると思いますが,本人はとても満足してます.
 そこでまたしても質問です.虹の中のNaの暗線と,Naの炎色反応の暗線の位置が同じだと,先日NHKスペシャルでやってました.ということは虹の暗線の位置を視覚的に並べれば,炎色反応の色がみんなわかって覚えられるということなのでしょうか?うーん,よくわからなくなりました.→質問5回答へ
また,母親と血液型が違う子供が生まれますが,胎内ではなぜ母親の血液と胎児の血液が混ざらないのですか?
最後に,白血病の治療などに骨髄移植がありますが,血液型の違う姉から移植して助かった女の子の話が,やはりNHKスペシャルに出てました.そしてその子は元の血液型から姉の血液型に変わりました.とてもびっくりしました.そんなことになって,どうして大丈夫なのですか?→質問6回答へ
あの,またまたわからくなったので,宜しくお願いします.