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酸素の発生量
 二酸化マンガン MnO2 等を触媒にして,過酸化水素 H2O2 を分解すると酸素 O2 を発生します.

  2H2O2 → 2H2O + O2

 過酸化水素水の体積を VA (mL),濃度を WC (mass%),密度を DC (g/mL)とします.過酸化水素のモル質量(分子量)を F( = 34.01 g/mol),標準状態における気体1 molの体積を VS( = 22400 mL/mol)とすると,発生する酸素の体積 VO (mL)は次式で計算できます.

  VO = VACCS / ( 200 F )

酸素発生量の計算値 VO を下表に示します.実測した体積(約25℃)は表の値の95%〜100%になりました.酸素を捕集するときの損失を考慮すると,使用できる量はさらに少なくなります.

表1 酸素発生量の計算値 VO (mL)
H2O2濃度
WC (mass%)
密度DC
(g/mL)
H2O2体積VA (mL)
51015202530405060708090100
3.001.0149.999.8150200249299399499599698798898998
5.001.0284.016825233642050467284010081176134415121680
10.01.0317033950967884810181357169620352374271430533392

 酸素の発生に要した時間(s)と二酸化マンガン(粉末)の質量(mg)の関係を下に示します.実測値がばらつきましたので,酸素発生時間はおよその値です.


図1 酸素発生時間(過酸化水素の分解時間)と二酸化マンガンの質量の関係
 過酸化水素水の体積VA=10mL,開始時の水溶液温度 18〜19℃,室温 21〜25℃
 反応が完全に終了した時間 過酸化水素水の濃度 :WC=3mass%
 反応がほぼ終了した時間 過酸化水素水の濃度 :WC=3mass%,:WC=5mass%,:WC=10mass%

表2 酸素発生時間と二酸化マンガンの質量の関係
H2O2 濃度と体積MnO2粉末, mg510203040506080100備考
H2O2C=3mass%,VA=10mL酸素発生時間, s 13201013944582485441285250反応が完全に終了した時間
H2O2C=3mass%,VA=10mL 974590385302275180143145反応がほぼ終了した時間
H2O2C=5mass%,VA=10mL 6403222251811551208080
H2O2C=10mass%,VA=10mL4962951741138762514235
開始時の水溶液温度 18〜19℃,室温 21〜25℃

過酸化水素水の密度
 上のJava Appletプログラムで使用している過酸化水素水の密度と濃度の関係を下に示します.化学便覧にデータが記載されていないため,理科年表および市販品のカタログ等から密度や比重のデータを集めました.


図2 過酸化水素水の密度と濃度の関係

表3 過酸化水素水の密度(比重)DC (g/mL)と濃度WC (mass%)の関係
C01361016202630303031333535
C 計算値1.001.001.011.021.031.061.071.091.111.111.111.111.121.131.13
C 文献値 1.00221.011.02041.03511.05741.07251.09591.111.11221.121.111.111.131.1327
C404545505060708090100
C 計算値1.151.171.171.201.201.241.291.351.401.46
C 文献値1.15361.171.17491.19661.201.241.30 1.401.46
※ 濃度WC (mass%)による密度DC (g/mL)の計算式 D = 0.0000135W2 + 0.0325W + 1.00

濃度の計算方法
 市販の過酸化水素水(過酸化水素の水溶液)の体積をVA (mL),それに溶けている過酸化水素の質量をMA (g),希釈水の体積をVB (mL),水の全部の質量をMB (g),溶液の質量と体積をM (g)とV (mL),溶液の密度をD (g/mL),質量百分率濃度をW (mass%),モル濃度をC (mol/L),溶液体積/希釈水体積をQとします.さらに,過酸化水素の式量をF (g/mol),市販の過酸化水素水の質量百分率濃度と密度をWC (mass%)とDC (g/mL)とすると,次式のような関係があります.

  MA=VACC/100, MB=VB+VAC(100−WC)/100,

  W=100MA/M, M=MA+MB=VAC+VB=VD, C=1000MA/FV,

  Q=V/VB, 1 L=1000 mL

これらの式と既知の値を用いて未知の値を求めることができます.濃度から密度を求めたり,溶液体積/希釈水体積から濃度を求めるときはプログラム中の表を使います.

調製方法
 必要な器具は,前もって洗浄し乾燥しておきます.
1 作成したい容量がはかれるメスシリンダー(たとえば350 mLを作成するなら500 mL)で蒸留水をはかりとり,ビーカーに移します.
2 別のメスシリンダーで市販の過酸化水素水をはかりとり,1のビーカーに少しずつよくかき混ぜながら加えていきます.
3 必要ならば,試薬ビンに移して保管します.試薬名,濃度,作成日,作成者などを書いたラベルを付けましょう.

注意事項
 市販の過酸化水素水は劇物で,毒性・腐食性と酸化性があります.高濃度のものが皮膚に付くと,白斑を生じて痛みます.過酸化水素水が目に入ったり,皮膚についたら直ぐに多量の水で洗い流しましょう.
 過酸化水素水は,金属粉末やアルカリおよび酸化されやすい有機物によって分解され,酸素を発生し発熱します.可燃物と混合すると発火させることがあります.これらの物質と混ざらないように注意し,冷暗所に保管しましょう.
 市販品の濃度は30.0〜35.5%です.正確な濃度が必要な場合には,濃度がわかっている酸化剤で滴定して,正確な濃度を決定しましょう.